マーメイド・セレナーデ
彼はなんて言ったのだろう。

だいきらい……?


全身で、無意識に理解を拒んでる。
信じられない思いで翔太を見ても、その眼に嘘はなかった。
ただひたすらにあたしを見て、訴えている。

嫌悪、しか読み取れないその瞳に、嘘でしょ、と問い詰めたいけれど。
嘘でないとはっきり言われるのが怖い。これ以上、言葉を重ねて突き放されたくない。



「しょ、翔太?なに、いっ、……て」

「聞こえねえのかよ、だいきらいだと言ってんだよ」



衝動で叫んださっきとはあまりにも違い。今度は冷静に、あたしの眼をみてはっきりと告げた。

だいきらい、だと。


隣同士に座っているのに、あまりにも遠いわ。

きらい…?
翔太があたしをきらい?



「冗談……」

「冗談なんかじゃねえ、テメーの顔なんて見たくねえ、」



見たこともない鋭い眼光、冷たい視線、低い声。
これはだれ?
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