マーメイド・セレナーデ
「あたし、なにかした……?」

「出てけ、」



声にならず、どうしようもなくただ翔太を見つめた。


ドン



「出てけってのがわかんねえのかよっ!」



壁を叩いて大きな音を出しながら声を張り上げあたしはヒッと空気を飲んだ。


腕を捕まれ無理矢理立たされると、あたしは翔太の手を振り払って涙を堪え切れずに飛び出した。


追ってこない、彼に本当にわけがわからない。

いきなり、どうして。
なに、なんで。
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