マーメイド・セレナーデ
翔太の眼を怖いと思ったのはこれが初めてだわ。
いつもいつも優しい暖かい眼しか知らないもの。

意地悪だけど、優しい眼だったもの。


もう、会えない。
顔も見たくない、なら会えない。

きらわれたならきらいにならなくちゃ。
ずっと報われない恋はできない。


あたしも一人暮らししようかしら。
あの眼に睨まれない、翔太のいないところに行けばきっと、全て忘れられる日がくる。



あたしは、翔太がきらい、になるんだもの。

きらい……。



最後と決めて、すきだという気持ちを心が悲鳴を上げて涙した。
< 76 / 302 >

この作品をシェア

pagetop