マーメイド・セレナーデ
「ったく、何が気に入らないんだよ」
ソファーに押し倒されたあたしを跨ぐように膝立ちになった奴の下から抜け出してココアで染まった絨毯が眼に入る。
「あ、ごめ……」
「いー、捨てる」
簡単に言い放って、翔太はもうあたしに興味がなくなったようにリビングから出て行った。
仕事上がりに買ったショップの袋が転がっていてぼーっと眺めていた。
そして急に今、翔太の家にいるんだ、と意識した。
実家と同じようにあまり物がない。
一言で言えばシンプルだ。
そして、マンションの外観から期待を裏切らない高級感が溢れる、そんな感じ。
「家に、帰ろう」
意識したことで居心地が悪くなった。
あたしの居場所がここに見当たらないから。
落ちたコップをテーブルに置き直し、タオルで拭こうと辺りを見回したとき声が掛かった。
ソファーに押し倒されたあたしを跨ぐように膝立ちになった奴の下から抜け出してココアで染まった絨毯が眼に入る。
「あ、ごめ……」
「いー、捨てる」
簡単に言い放って、翔太はもうあたしに興味がなくなったようにリビングから出て行った。
仕事上がりに買ったショップの袋が転がっていてぼーっと眺めていた。
そして急に今、翔太の家にいるんだ、と意識した。
実家と同じようにあまり物がない。
一言で言えばシンプルだ。
そして、マンションの外観から期待を裏切らない高級感が溢れる、そんな感じ。
「家に、帰ろう」
意識したことで居心地が悪くなった。
あたしの居場所がここに見当たらないから。
落ちたコップをテーブルに置き直し、タオルで拭こうと辺りを見回したとき声が掛かった。