マーメイド・セレナーデ
間奏曲1
唇は、思っていたよりかさついていた。
グロス、ルージュ
キスをするたび舐めるこっちの身にもなってみろ、突き付けたこともあった。
ハッと、眼を瞠って。
徐々に目尻に溜る涙を見て、満足する俺も俺だったけれど。
ただ、今は。
それごと舐めとってしまいたいくらいに。
俺を煽るように舐めとる舌に、翻弄される。
声も、唇も、その妖艶な舌さえも、全て。
俺のもの。