御曹司様はあなたをずっと見ていました。
一条君との事件があった送別会から一週間後。
私はいつも通りに会社で仕事をしていると、一通のメールが届いた。
送り主はあの一条君だ。
見るのが恐い気もするが、メールを開けて見る。
そこに書かれていたのは、先日のお詫びと、なにやら画像が添付されていた。
その写真には、一条君ともう一人女性が写っている。
よく見ると、その女性は以前にデータセンターで一緒に働いていた女性だ。
確か裕子の部署の後輩だったことを思い出した。
メールを読み進めると、その女性と一条君は前向きに付き合っていこうと思うと書いてある。
私と進一郎さんが帰った後に、その女性から告白されたようだ。
私達の一部始終をその女性は店の陰から見ていたらしい。
ここからは想像だが、気落ちしている一条君を励ましたのが彼女なのだろう。
優しい彼女に一条君の気持ちが動いたようだ。
「幸せになってね。」
思わず声を出した私に裕子が怪訝な顔でこちらを見ている。
「梨沙、今なにか言った?幸せに…とか言わなかった?」
「何でもないよ。」
私がクスッと笑いながら裕子をみると、益々怪訝な顔をした。
「梨沙、何か隠してるでしょ…教えてよ。」
「ダメだよ。ナイショ。」