御曹司様はあなたをずっと見ていました。


一年後


「ただいま、結愛(ゆあ)。今日はパパがお風呂に入れてやるからな。」

進一郎さんは、会社から帰って来ると、急いで娘の結愛が寝ているベッドに近づいて来る。
結愛は進一郎さんを見て、パパと分かるのか目を開けてキャッキャと声を上げて笑っている。

進一郎さんは今にも溶けてしまいそうな表情で結愛を見つめる。
あんなにも完璧なイケメンが、今では娘にメロメロのパパだ。


「進一郎さん…今日、赤沢さんと真紀ちゃんの結婚式の招待状が届いたわ。」


あれから、進一郎さんの妹である真紀ちゃんと赤沢さんはお付き合いを初めて、もうすぐ結婚することになったのだ。


「そうか…とうとうあいつらも結婚か…いろいろあったが、幸せになって良かったな。」


「それとね…進一郎さんは気づいてないかも知れないけれど…裕子も細谷さんと最近良い感じみたいだよ。」


「そうなのか…まったく気が付かなかったなぁ。細谷は昔から秘密主義のところがあるからな。」


最近、裕子は細谷さんと付き合い始めたと話していた。
実はデータセンターの頃から裕子は細谷さんを好きだったらしい。
その想いが細谷さんに届いたのだ。
裕子は嬉しそうに頬を赤くして話していた。

なんだか私まで嬉しくなってくる。


皆が幸せに向かって歩き始めている。


きっと、数年後にはそれぞれの子供同士が新しい物語を始めるのだろう。

進一郎さんは、今から結愛の彼氏を心配しているのだ。
結愛もこれから大変そうだ。


結愛という名前は、私と進一郎さんが、不思議な縁で出会ったことから、この子にも、そして周りの人も素敵な愛で人と人を結びつける子になって欲しいという思いがつまっているのだ。


私は進一郎さんに出会えて幸せです。


まだまだ私達の人生は楽しい事が起こりそうですね。




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