御曹司様はあなたをずっと見ていました。
バロンは島からクルーズのための船を出してくれるという。
どうやら、この付近の海は鯨なども運が良ければ近くで見えるらしい。
「ママ~パパ~、大きいお魚!!すごい!!」
船に乗り込んですぐに結愛が大きな歓声をあげたのだ。
そこには大きなクジラが2頭と小さな鯨1頭、船の隣をゆったりと泳いでいたのだ。
バロンさんも目を輝かせた。
「オヤコのクジラ、珍しい。シンイチロウ運がいい。」
そこにいたのは、親子のクジラだという。
すると進一郎さんは結愛に向かって説明した。
「大きなお魚の一番大きいのがパパ、次に大きいのがママ、そして一番小さいのが結愛だね。」
「わーすごい!お魚さんのパパ、ママ、結愛だぁ!」
さらにバロンさんが大きな声をあげた。
「コドモ、もう1頭いるね、ほらそこに!」
よく見ると、そこにはママ鯨にぴったりくっついた子供の鯨がもう一頭いたのだ。
バロンさんが嬉しそうに話し始めた。
「僕の国では、動物や魚が子供を連れて近づいて来ると、その夫婦に子供が生まれる言い伝えがあるんだ。シンイチロウ、もうすぐきっとまた赤ちゃんに会える。」
なんということだ、もうひとり赤ちゃんができる知らせとは、本当なら幸せだけど信じられない。
クルーズが終わると、バロンは仕事が忙しいので、先に帰ることになっていたらしい。
大きな会社のトップはどこの国も忙しいようだ。
進一郎さんは、別れ際にバロンさんへ言葉をかけた。
「バロン、今回は本当に楽しい旅行が出来たよ、ありがとう。」
すると、バロンが微笑んで返事を返す。
「シンイチロウ、次はファミリー4人で遊びにおいで。」
「…うん、それは分からないけどね。」
「ハッハッハッ、イイツタエは当たる。次は4人だ。」
その日の夜も豪華なディナーを頂き、結愛は大満足と疲れで気持ちよさそうに眠りについた。
「梨沙、バロンの言い伝えは本当かな?」
「…っえ?」
「今日はたくさん梨沙を抱きたい。せっかくの新婚旅行だからなっ。」
「進一郎さん…ちょっと…まだダメ…結愛が起きちゃうよ!!」
その日はご想像の通り、朝まで眠ることは許されませんでした。