御曹司様はあなたをずっと見ていました。
まるで意味が分からず、驚き過ぎてポカンとした表情の私に、高宮専務はおばあちゃんに見えないようにして、私に廊下へ出るようにと指差して合図した。
私はおばあちゃんに、少し外に出てくると声を掛けて廊下に出た。
高宮専務もおばあちゃんに一礼すると、私と一緒に部屋を出た。
おばあちゃんは嬉しそうに手を振っている。
「高宮専務…なぜ、おばあちゃんにあんなことを言うのですか?」
すると、高宮専務は真面目な表情で私を見た、
「突然あんなことを言ってごめん…でも、君が嫌じゃなければ、僕にとってもありがたい話なんだ。」
「…ありがたいとは?」
高宮専務の言っている意味が全く分からない。
「佐々木さん、君はおばあちゃんを安心させたいのだろ?…僕は結婚相手が必要だったんだ。お互い都合が良く無いか?」
「な…な…何を言っているのですか?」
「僕は社長の息子だって知っているだろ?だから仕事で功績をあげれば、次期社長なんだ。でも、社長になるには条件がある…それは結婚して家庭を持つことなんだ。」