御曹司様はあなたをずっと見ていました。
車を降りた私は、走り出した進一郎さんの車を見送った。
車が見えなくなっても、その場所を動けなかった。
少しして、呆然としながら、なんとか家のドアの前まで辿り着いた。
どうやって、ここまで歩いたか覚えていないくらいだ。
そして玄関に入ると、急に脚の力が抜けてストンと床に座り込んでしまった。
進一郎さんの前では気丈に振舞っていたが、脚は震えて手も氷のように冷たくなっていた。
緊張と恐怖で心臓は押し潰されそうだったのだ。