御曹司様はあなたをずっと見ていました。
私達4人はマンションを出て歩き出した。
すっかり秋が深まり、ジャケットを着ていても夜風が頬に冷たく感じる。
首に巻いたマフラーを口元まで引き上げた。
その時だった、私達の後ろから誰かが声を掛けたのだ。
「お久しぶりです。」
振り返ると見覚えのある男性が、スーツ姿で立っていた。
(…この男性はどこかで…)
「倉田さん、どうされたのですか?」
声を出したのは、進一郎さんだ。
この男性は、社長室で会った社長秘書だ。
秘書の男性は倉田さんと言うらしい。
「高宮さん…無理なお願いと存じておりますが、どうか会社を助けて頂けないでしょうか?」
「それは、どういう事ですか?」