御曹司様はあなたをずっと見ていました。
「実は、白鳥財閥から大きな圧力をかけられて、会社は今までにない苦戦を強いられています。それは………。」
倉田さんの話は驚くものだった。
京香さんは、自分の父親にとんでもない事を言っていたのだ。
なんと自分は、進一郎さんに弄ばれて、捨てられたと伝えたらしい。
娘を傷ものにして、酷い仕打ちをされたと思い込んだ父親は、怒りのあまり高宮家と会社へ圧力をかけて来たのだという。
そのため、取引先や銀行にも手をまわされてしまったらしい。
「倉田さん、会社はかなり危ない状況と言う事ですか。」
「今回はかなり厳しいと思います。白鳥財閥の力は政財界に、大きな力を持っていますからね。」
「…わかりました。僕が直接、京香と話をしてみます。」
進一郎さんの言葉に、赤沢さんは驚いた表情をした。
「…高宮…大丈夫なのか。」
「あぁ…僕が誤解されるのは構わないが、会社が潰されてはかなわないからな…直接、彼女と話をしてくるよ。」
進一郎さんは私達3人に向かって笑顔を見せた…しかし、かなり無理をしている表情だ。
「悪いな…3人でご飯を食べてくれ…僕は行かなくちゃならないから。」
それまで何も言わなかった細谷さんが、ぽつりと呟いた。
「バカだな…俺達を見くびるなよ。」
すると赤沢さんも頷きながら話し出した。
「お前ひとり置いて、飯なんて食べられるわけないだろ…俺達を信じろよ、一緒に行くに決まっているだろ。」
「…悪いな…巻き込んでしまって。」