御曹司様はあなたをずっと見ていました。
「佐々木さん!目が覚めたようだな。」
「大丈夫か?」
病室の入り口で声を出したのは、赤沢さんと細谷さんだ。
赤沢さんは大きな花束を抱え、細谷さんはペットボトルの水をレジ袋いっぱいに持ってきてくれた。
「心配をお掛けしました。もう大丈夫です。」
赤沢さん達は大きく首を振った。
「佐々木さんが高宮を守ってくれなかったら、今頃、皆で黒い服着て手を合わせていたよ。」
赤沢さんは進一郎さんを見ながら、手を合わせてみせた。
「そうだな、梨沙は僕の命の恩人だな。」
私達が話をしていると、若い看護師の女性が部屋に入って来た。
そして、進一郎さん達を見た途端に、顔を真っ赤にしたのがわかる。
忘れていたが、社内でもこの3人の人気は、群を抜いてのを思い出した。
「佐々木さん…痛みはどうですか?」
看護師の女性が心配そうに私を覗き込んだ。
「…はい。痛みは殆どありません。大丈夫です。」