御曹司様はあなたをずっと見ていました。
私はベッドに入ると、本を読むのが習慣のようになっている。
先にお風呂に入らせてもらった私は、進一郎さんより先にベッドで本を開いた。
物語に夢中になったころ、カチャリと寝室のドアが音を立てた。
ドアの方に目を向けると、髪をタオルで拭きながら、進一郎さんが部屋に入って来たのだ。
濡れた髪が、なぜか色っぽく見えてしまい、心臓がドクリと大きく跳ねあがる。
すると、進一郎さんは本を開いている私を見た。
「梨沙も寝る前に読書するんだな…僕も本を読まないと寝られないから、よかった。」
私の心臓は大きな音を出しているが、進一郎さんはまったく平然として、ベッドに座る私の隣にストンと座った。
すると、無言で本を開き読み始めるのだった。
どうやら意識していたのは私だけのようだ。
(…ドキドキしているのは私だけだ…なんだか恥ずかしい…)