御曹司様はあなたをずっと見ていました。
「梨沙、おはよう…そろそろ起きないと、仕事の時間に間に合わないぞ。」
進一郎さんの声に驚き、飛び起きた。
ぐっすり眠ってしまい、だいぶ寝過ごしてしまったようだ。
「進一郎さん、申し訳ございません。…すぐに朝食の支度を…。」
進一郎さんは言葉を遮るように話し出した。
「梨沙、謝る必要はないよ…ぐっすり眠れたようでよかった。朝食は僕が作ったから、梨沙は顔を洗っておいで。」
なんという失敗をしてしまったのだろう。
一緒に暮らす初日から寝坊とは、自分が情けない。
早く起きて、進一郎さんの朝食を作りたかったのだ。
キッチンの隣のテーブルには、美味しそうな目玉焼きとサラダ、トースト、ヨーグルトにはフルーツが乗っている。
「進一郎さん、凄く美味しそうです。これ全部、進一郎さんが作ってくれたのですよね。」
「あぁ…有り合わせの野菜とかで作ったから、たいして美味しくないかも知れないが、良かったら食べてみて。」
最初にサラダを一口食べてみた。
すると、ドレッシングに何か入っている。爽やかな香りが口に広がった。
「進一郎さん、このドレッシングは手作りですか?」
「いや…違うよ…市販のフレンチドレッシングにグレープフルーツを入れてみたんだ…どうかな?」
「すごく…すごく美味しいです。グレープフルーツのツブツブ感が、また絶妙で…たまりません。」
進一郎さんは私の顔を見て、クスッと笑った。
「梨沙が美味しいと言ってくれて嬉しいよ…梨沙は美味しいもの食べると、本当に幸せそうな表情するんだな…可愛い。」
進一郎さんに、可愛いなんて言われると、顔が一気に熱くなる。
それにしても、進一郎さんは本当に何でもできる完璧な人だ。
なんだか、自分が情けなくなる。
こんなにスゴイ人が自分を妻に選んでくれるなんて、なんだか信じられないくらいだ。