御曹司様はあなたをずっと見ていました。
少しして、赤沢さんが進一郎さんに話し出した。
「なぁ、高宮、今回もSNSにお前宛てのメッセージがスゴイな。さすがイケメンは女の子が放っておかないな。」
何気ない会話に胸が締め付けられた。
さっき、裕子に言われた言葉が頭に残っていたのだ。
こんなにも人気の進一郎さんは、たえず女の子から誘いを受けているのだろう。
確かに、いつ誰かに取られても不思議はないのだ。
「佐々木さん、…佐々木さん…聞こえているかい?」
「…は…はい…申し訳ございません。」
考え事をしていて、細谷さんの呼びかけに気づかなかったのだ。
「佐々木さんが、ぼーっとするなんて、珍しいな…元気も無いし、どうかしたのか?」
私は何を考えているのだろう。
今は仕事中だ。
私は両手で自分の頬を強めにパチパチと叩いた。