御曹司様はあなたをずっと見ていました。
「ど…どうして…そんなことを言うのですか?」
すると、真紀ちゃんは私に近づき、不敵な表情で微笑んだ。
「進一郎お兄様のお世話は私がするわ…だからあなたは、ここから出て行って欲しいの。」
真紀ちゃんの言葉に驚き過ぎて、私はそのまま固まっていた。
「ねぇ、聞こえているのかしら…あなたは進一郎と釣り合わないわ…」
「…なぜ、あなたがそんなことを言うのですか。」
すると、真紀ちゃんは、なぜかケラケラと不気味に笑い始めた。
「なぜって…そんなこと決まっているじゃない。私はずっと小さい頃から、進一郎を兄と言う目で見ていないわ…私は進一郎を愛しているのよ…誰にも渡さないわ。」
「…真紀さん、進一郎さんはあなたの気持ちを知っているの?」
真紀ちゃんは急に悔しそうな表情をした。
「…知らないわ。でも、進一郎は私を可愛がってくれているの。…私は、進一郎が愛のない政略結婚をするのだったら、仕方ないから許せたのに、それをあなたがじゃましたのよ。」
真紀ちゃんに、いきなり出て行けと言われ驚いたが、その言葉に従うつもりは無い。
「真紀さん、もし、その言葉を進一郎さんから言われたら、私も素直に従うわ…でも、あなたに言われて、ここから出て行くつもりは無いの。」
すると、真紀ちゃんはいかにも忌まわしそうな顔つきをすると、何も言わずに踵を返して行ってしまった。