御曹司様はあなたをずっと見ていました。

少しずつこの会社も軌道に乗って来たが、忙しい事には変わりがない。
気づけばもう20時をまわっていた。

裕子もそろそろ仕事を切り上げて帰る支度を始めている。
私も夕食を作るため、仕事を切り上げる準備をした。

仕事でバタバタしていたため、そういえば、昼食後に洗面で真紀ちゃんに会って以来、真紀ちゃんはどこかに出かけて戻っていないようだ。

しかし、真紀ちゃんはまだ海外から戻って来て間もないため、日本に慣れていないはずだ。
少し心配になり、進一郎さんに尋ねることにした。

「進一郎さん、真紀さんがまだ帰っていないみたいですが…大丈夫でしょうか。」

すると、進一郎さんは大きく息を吐いた。

「まったくあいつは周りに心配ばかりさせる奴だな…でも、あいつも大人なんだから大丈夫だろ。」

進一郎さんは大丈夫だと言うが、なぜだか少し嫌な予感がする。

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