御曹司様はあなたをずっと見ていました。
進一郎さんが仕事を終えて部屋に戻って来た時、すでに時間は23時をまわっていた。
私はさすがに真紀ちゃんが心配になり、進一郎さんに相談した。
「進一郎さん、真紀ちゃんがまだ戻っていないのです。大丈夫でしょうか?」
すると、進一郎さんは少し呆れたような表情を見せた。
「まったく、手のかかる奴だな…この時間になればさすがに心配にもなる。どこをうろうろと、ほっつき歩いているのか知らないが…僕はちょっと探しに行ってくるよ。梨沙は先に休んでくれ。」
進一郎さんは、その場で誰かに電話を掛けると、真紀ちゃんを探しに出て行ってしまった。
進一郎さんが出かけてしばらくは起きていたが、襲ってくる睡魔に負けてベッドに横になる。
起きているつもりだったが、知らないうちに眠っていたようだ。
どのくらい時間が経ったのだろう、寝てしまった事に気づき、私は慌てて目を見開いた。
すると、部屋の外で、なにやら物音がしたのだ。
(…進一郎さん、戻ったのかしら…)
私は起き上がり、恐るおそる部屋のドアを少し開けて中を覗いてみた。