御曹司様はあなたをずっと見ていました。
部屋の中には、進一郎さん、細谷さん、赤沢さんの3人に囲まれ、真紀ちゃんが下を向いて座っていた。
「真紀、皆に心配をかけたのだから、しっかりと謝らないとな。」
進一郎さんは、厳しい表情で真紀ちゃんに話している。
「まさか、こんなことになるなんて思わないもの!」
すると、赤沢さんもいつもの笑顔ではなく、真面目な表情で話し始める。
「今回は、たまたま通りかかった知り合いが気を利かせて連絡をくれたから良かったけれど、あのままどこかに連れて行かれるところだったよ。」
すると、真紀ちゃんはぷくっと頬を膨らませて少し拗ねた顔をする。
「お店で飲んでたら、いきなりあの人たちが話しかけてきたのよ。優しそうだし、良い人達に見えたの!」
すると、進一郎さんは無言のまま、天井を見上げた。
「真紀、あいつらは、優しい言葉で女に近づいて、気を許したところで連れ去る集団なんだぞ!そして運が悪ければ人身売買で海外に売られるぞ!」
「そ…そうなの…でも…そんな人に見えないもん。」
さらに赤沢さんが横から説明を始めた。
「どうやら、あいつらは海外の闇の組織と繋がっているらしい。今、警察も慎重にマークしていたそうだ。僕の知り合いに刑事がいてね、念のため真紀ちゃんの風貌を伝えて探してもらおうと思ったら、ちょうど追っていたグループに、特徴が似ている女性が狙われていると言われて驚いたよ。」
私も本当に驚いた。
まさか、真紀ちゃんがそんな危険な状況だったとは思ってもみないことだ。
しかし、話を聞いて、真紀ちゃんが無事であったことに、胸をなでおろした。
一歩間違えば、大変なことになっていただろう。