御曹司様はあなたをずっと見ていました。
進一郎さんのいないオフィス。
今までだって外出が多かった進一郎さんなので、変わらないはずなのになぜか寂しい。
無意識で進一郎さんのデスクを眺めていたようだ。
すると、裕子がニヤニヤと揶揄うような表情で話し始めた。
「梨沙、もう高宮さんロスで寂しいんじゃないの?」
「ゆ…ゆうこ!違うってば…そんなこと…」
「ふぅ~ん…なら良いけどね…」
裕子はさらに口角を上げて悪戯な顔をする。
「もう…裕子は…揶揄わないでよ。」
すると、何か思いついたように裕子は口を開く。
「そうだ。寂しい梨沙ちゃんのために、良い事思いついた。…実は、元のデータセンターや同期の仲が良かった子たちで、私と梨沙の送別会をしたいって言われてたんだ…急だけど、今日にしてもらおうよ。高宮さん帰り遅いんでしょ?」
「そんな急に…無理じゃない?確かに進一郎さんは遅くなるって言ってたけど…」
「一応、聞いてみようよ。」
こういう時の裕子は妙に行動力がある。
早速、先方に連絡を取り、本当に今日の予定を取り付けたのだった。