消えた影
「ねえねえ、ノークいる〜?」

 司令室に(たける)が来たのもその時だった。後ろでモジモジしている姫菜(ひめな)に気づいて、ネールが「あっ、ヒメっちも来たですか〜」と手を振る。ノークは彼に抱きつき、おいおいと泣き出した。

「お〜、心の友よ!聞いてくだされ、我輩はアイスなんか……」
「聞いたよ。ダメじゃないノーク、姉ちゃんの分まで食べちゃ。この調子じゃ、ご機嫌斜めだよ」

 間髪入れずに優しい口調で親友をたしなめた彼の言葉が、壊れかけのハートに突き刺さる。

「尊くんまで……だ、だからさ、僕わぁ、無実なんだってばさ……」

 ショックのあまり白目を向いて硬直しているのにも気づかず、彼は司令室の一同に「怪人・八百面相」の噂を聞かせた。
< 14 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop