消えた影
「また現れたぞ!あれはいったいなんだ!?」


考古学者のオッターマン博士(仮)の指差した先には、二つの光り輝く球体があった。

夜空に浮かぶ大きな光の塊。


「空飛ぶ円盤?いや、まさか……」


半信半疑で博士は呟いた。


何しろここは南米のペルー、それも強大な地上絵で有名なナスカ平原だ。

大昔地面に描かれた数百メートルもある動物や鳥などの絵は、宇宙人のメッセージとも言われている。

何かの見間違いではないかと思ったが、二つの光は飛行機でも流れ星でもなかった。

双眼鏡で覗いてみても正体がわからない。

それどころか、どの高さにいるのかもはっきりしないのだ。

まさに未確認飛行物体である。


博士や地元の先住民たちが見守る中、二つの発光体は平原上空をグルグルと旋回し続けた。

今日だけではない。

ここ何週間か、UFOは毎日のように目撃されていた。

光は一つで現れることもあるし、三つ以上の集団でも現れる。

追いかけあったり、何時間も地上絵の上で停止を続けたこともあった。


博士の胸には、先住民の老人が呟いた言葉が蘇ってくる。

「神が……古代の神々がこの地に帰ってきたのかもしれない……」と。
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