ずっと、好きなんだよ。
よく分からないことで笑い、


下らない思い出話に花を咲かせていたらあっという間に時が流れた。


薬のお陰で徐々に彼の咳も収まり、熱も下がってきていた。



「37度8分。すげ、もうこんな下がったのか。朽木来る前に計った時は39度とかだったのに」


「薬のお陰だね。ほんと、死ななくて良かったよ。こんなんで死んだってなったら、お母さんも美玲さんも、それに栄木さんだって泣いちゃうだろうし」


なんて言っておきながらも私1番泣ける自信ある。


変な自信だけど、私の涙はこの人のことでしか大抵流れないから。


たぶん、全部あげちゃったんだよ。


笑顔も涙も、全部。


あの頃以上に笑えることも、


あの時以上に泣けることも、


ない。


それはもう私がそういう運命だから。


一緒にいられることはないのだから。


今日という日は尊い奇跡。


2度と訪れないであろう奇跡を抱き締めて私はこれからも生きていくしかないんだ。


なんて、ちょっと感傷的な気分になっていると、彼の顔も曇り出した。


どうしたんだろう?


もしかして、死ぬとか軽い気持ちで言葉にしちゃったから?


だとしたら、謝らなきゃ。


< 100 / 170 >

この作品をシェア

pagetop