ずっと、好きなんだよ。
ふわっと身体が引き寄せられて、


あの時よりも固くなった胸の、


その奥の心臓の鼓動が聞こえた。



「玲音...くん...?」



声を上げて泣いていて


きっと私の声なんて聞こえていない。


どんな関係でもいい。


今ここにいて寄りかかってもらえたなら、


私がここにいる意味はあるのだろう。


私も私を信じるよ。



彼が泣き止むまで、私はただひたすら目を閉じて願った。


早く風邪が治って


心も元気になって


彼にとって1番大切な人の前で


世界一眩しい笑顔を見せて


時にはちゃんと泣けますようにって。



香西玲音くん。


キミはね、


私にとって


この世界で1番、大切な人。


栄木さんにとって、もっともっと大切な人。


それだけですごく価値があるんだよ。


誰かの特別になれたんだから、それだけでもう十分輝いてるんだよ。


これ以上輝けなくたっていい。


どんな光でも見つけてくれる人はいる。


もちろん私も見つけるから、


だから、ね、


大丈夫。


大丈夫、だよ。


誰よりも、幸せになって。


私が願うから。


これからもずっと。



「奈和...ありがと。よく、わかんねぇけど
ありがと」


「うん。どういたしまして」



少しでも伝わったなら、良かった。


今日ここに来て、良かった。


今日キミの側にいられて、良かった。


こちらこそ、ありがとう。


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