ずっと、好きなんだよ。
「......おちゃん。おーい、奈和ちゃん」



......ん?


呼ばれている気がして、目をこじ開ける。



「ふわぁ...」


「奈和ちゃん、大丈夫?」


「あ、美玲さん。すみません、寝ちゃって...」


「手、ずっと握っててくれたの?」


「えっ?」



うわ。


やってしまった...。


何考えてるんだ、私...。


がっつり両手で握ってた...。


しかも、美玲さんに見られるなんて。


最悪だ。



「大丈夫。2人だけの秘密にするから」


「す、すみません...」


「謝んないで。ほら、れおすっごく気持ち良さそうに眠ってるから」



美玲さんに促され、ちらっと拝借すると、気持ち良さそうにすやすやと寝息を立てていた。



「最近ずっとなんか悩んでてうなされてたみたいだから、心配してたの。でも、この顔見たらもう大丈夫そうね。きっと奈和ちゃんが魔法の言葉かけてくれたんでしょう?」


「まぁ、言うには言いましたけど、よく分からないって言われちゃったので、たぶんあんまり響いてはいないかと...」


「でも、言えたからスッキリしたんだと思う。...そっか、奈和ちゃんには言えたんだね」



美玲さんが彼の頭を撫でる。


弟のことだもん、自分のことのように心配だったに違いない。


美玲さんの心労も多少なりとも拭えたなら私も役に立ったといえるだろう。


ちょっとだけ自分を褒めてあげよう。


よくやった、私。



「本当にありがとね、奈和ちゃん」


「いえいえ。では、私はそろそろ失礼します」

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