ずっと、好きなんだよ。
べろんべろんに酔った由紀ちゃんは叩いても揺らしても起きることはなく、私は女性の店員さんに手伝ってもらい由紀ちゃんをタクシーまで運んだ。


由紀ちゃんの財布からマイナンバーカードを出し、この住所までお願いします、とタクシーのお姉さんに頭を下げ、タクシーが走り出すのを見送って駅までの道を歩き出した。


桜並木はオレンジ色にライトアップされていて夜道を明るく照らしてくれている。


光を追って


手を伸ばして


真っ直ぐ歩いて


辿り着いたところが、今。


後悔ばかりだけど、


後悔したくてしたわけじゃないし、


仕方ないって思う。



私...忘れられないよ。


まだ、覚えてるよ。


きっとあの日よりも


背伸びたり、


髪も明るくなったり、


大学デビュー?していたり、


するんだろうけど、


私は知らない。


知らないままでいい。


私の知らない町で


私の知らない世界で


大きな声を上げて


あの屈託のない顔で笑ってるのを想像するとね、


辛いって思ったりもするけど、


いいよ。


忘れる。


いつか、必ず。


キミを、忘れて


私も頑張って前に進むから。


だから、どうか。


キミの大切な人の手だけは、


ちゃんと握ってて。



そう、夜空に願いをかけた。


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