ずっと、好きなんだよ。
「今年の夏、色々あったんだぁ。夏祭りで朽木さんと再会したし、その後わたしは留学に行ったし、帰ってきたらお帰りで終わらなかったし...。

なんとなく...分かってた。いつか来るって分かっててもその日が来ないようにって祈りながら、でもそれじゃダメだって何度も自分に言い聞かせた。そして...受け入れたんだ。

単刀直入に言うと...別れたんだ。留学から帰ってきたその日に」



.........?


えっ......?


どういうこと?


別、れた?



「別れ、た...って...」


「うん。別れたんだよ、わたしとれおくん。さよならしたんだ。お互いの光が消えないように」


「光?どっちも眩しかったよ。私にとって栄木さんも玲音くんもどっちも眩しくて、お似合いだって、ずっと...」



栄木さんが首を真横に振る。


違う...?


何が?


なんで?


どうして?



「わたしにも失敗することはあってねぇ。わたしの人生において最大の失敗だった。それはね...寄り添えなかったこと。れおくんが悩んでる時にわたしだけ先を行って突き放しちゃったこと。

勝手に留学を決めて壊れかけてたれおくんを見て見ぬふりしちゃったんだ。自分のことばっかり話してちゃんとれおくんの気持ちを聞いてあげられなかった。孤独にしちゃったんだ。

れおくん優しいから、わたし甘えてばかりで守られてばかりで...。

そんなんじゃダメだ、わたしも強くなろう、夢に向かって頑張ろうって必死になってたら、見えなくなっちゃったんだ。眩しかったはずの光を追い越して消えかかった光に蓋をしようとした。

気づいた時にはどうすればいいかわからなくなって、わたし...大好きだった光を視界から追い出しちゃったんだ」


「でも、だからって別れなくても...」


「ううん。別れなきゃダメだったんだ。だって...お互いの一番がお互いじゃなくなっちゃったから」


「それってどういう...」



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