ずっと、好きなんだよ。
オレが帰宅するや否やアネキが駆け寄って来た。



「お帰り、れお。どうだった久しぶりの外は?ふふっ。なんて聞かなくても分かるけど」


「なんだよ、ニヤニヤして。気味悪りぃな」


とは言ったものの、アネキが自分のことのようにオレを心配してくれていたのは分かってる。


こういう時前はごめんって謝っていたけど、今なら言える。



「ありがと、アネキ。心配してくれて」



オレがそう言うとアネキは華奢な手のひらをオレの頭に乗せ、米でも研ぐようにわしゃわしゃした。



「今日はやけに素直じゃんっ!気味悪りぃなあ」


「アネキは言わなくていいっ!」


姉弟で変に戯れ合っていると、オレ達の笑い声に釣られてか居間にいたはずの母さんまでやって来た。



「うふふ。いくつになっても子供ねぇ。でも仲良しで良かった。お互いを温められるあったかい2人に育ってくれて、母さん嬉しいわ…」



母さんが咽び泣く。


笑ったり泣いたり。


いつもより賑やかなのは、


こんな温もりに気づけたのは、


オレがオレを見つけたから。


母さんもアネキも


オレを見離さずに一緒にいてくれてありがとう。


伝えきれない分は想うから。


だから、2人共、オレの決断を信じてくれ。


言わずとも分かってくれるとは思うけど。

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