ずっと、好きなんだよ。
それから3ヶ月後、アネキの結婚式があった。


母親と同じくらい、いや、時にはそれ以上にオレを心配し、世話を焼いてくれたアネキが世界で一番好きな人と結ばれ、人生の中で一番輝かしい1日を過ごした。


式場に元婚約者の御曹司が殴り込んで来たり(寸劇だったが)、


奈和と夏音に挟まれて多少気まずい時間を過ごしたり、


披露宴の余興で今話題のアイドルのモノマネをさせられたり、


オレがアネキへの感謝の手紙を読んでいる間に号泣し始め、読むなとストップをかけられたり...。


とまぁ色々なことがあったわけだが、式は滞りなく終わった。


披露宴の後、オレはアネキに呼び出され、アネキの控え室に行った。


なんとなく、言われそうなことは分かっていたが、アネキからのお言葉をきちんと心に留めておこうと前のオレでは考えられないくらい前向きな心持ちだった。



「悪いね、れお。この後デートとかない?」


「家に送ったら今日は帰るよ。つうか、悪いと思うなら呼び出すなよ。奈和待たせてるんだし」


「そうねぇ、義理の妹になる予定だし、奈和ちゃんに辛い思いはあんまりさせられないんだけど...」



言いながら、視線をこちらに流してくる。


ったく、わかってるての。



「奈和ちゃんにちゃんと奉仕してる?ほら、約12年間片想いだったわけじゃない?まぁ、実際には両片想いだったわけだけど。複雑にさせちゃったのはれおのせいだからね」


「分かってる」


「うんうん。分かってるのをアネキもちゃんと分かってるよ。だけど、もう同じ家にも帰らないし、苗字も変わるし、ちょっとやっぱり...他人になっちゃうと思うんだよね。今までより物理的にも心理的にも距離が出来ちゃうからこそ、アネキとして言えることは言っておきたいの。だから、言わせて」



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