ずっと、好きなんだよ。
帰宅してから綺麗に施されたラッピングを剥がし、中身を確認してみた。



「すごい...イニシャル入りだ...」



なんとプレゼントは、"N.K"とイニシャルの入った万年筆だった。


早速それでチラシの裏に自分の名前を書いてみる。



朽木奈和。



見慣れた字並びだ。


いつかそれが変わる日が来るのかな...。


なんて、急いではいけない。


今日で25になったからといって、焦ることではない...と思いたい。


あれから、5年。


私たちは確かに愛を育んできた。


確かめてきた。


はず、なんだけど、


なんかモヤモヤするのは、


なぜだろう...。


新店舗の店長になるからっていう不安もあるけど、それ以上に、ね...


たぶん、ちらつく二文字が頭から離れないからだと思う。


私の予想通り、由紀ちゃんは一足先にゴールインして、再来月新しい命の誕生を迎える予定だ。


それなのに、私は...


私たちは...


現状維持、か。


なんて、思わなくもない。


それぞれのペースがあるし、私たちの場合はすれ違っていた期間を埋めるので精一杯だったから、今までその二文字が話題に上がったこともなかった。


一緒に暮らしてもいない。


会えるのは多くても週に2日が限界。


それでも...


それでも、ちゃんと、


進んでる、かな?


進んでる、よね?


信じていい、よね?


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