ずっと、好きなんだよ。
彼の体温が離れる。


教科書や資料を詰め込んだ大きなカバンの隙間から彼が白い箱を取り出す。


魔法にかけられたようにパカッと快い音を立てて開き、銀色のリングが光って現れる。


彼が私の左手を取る。


ふぅと息をつく。



「ため息かよ」


「違う。ちょっと緊張しちゃって。指に入るかな?」


「絶対入る。入らなくても意地で入れる」


「それは止めて」



なんて言ったけど、スーっと通ってピタリとはまった。



「ふふ。すっごく綺麗」


「似合ってる」


「...ありがと」



お互いに恥ずかしくなってぷっと吹き出す。


こういう緊張感のある感じが苦手なのはお互い様。


それを誤魔化すように笑ってしまう。


でも、いいよね?


私たちらしくていい。


このままでいい。


ううん、このままがいい。


ずっと、ずっと、笑っていよう。


キミが落ち込んだ時は私が笑顔にする。


だから、私が泣いてたら無理やりにでも笑わせて。


"ありがとう"と"好き"を繰り返して


いっぱい循環させて


たっくさん笑おう。


ずっと、ずっと、ずっと、


一緒に。


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