ずっと、好きなんだよ。
あれからはトラブルもなく、無事業務が終わった。


オレは同じ時間に上がりとのことで松本さんを駅まで送ることになった。


夏音と2人で歩くことが多いからか、オレは無意識に歩みが遅くなり、女子の歩幅で歩くようになっていたみたいで自然と松本さんと横に並んでいた。



「初日どうでした?」


「まだまだ慣れないですけど、リーダーの牧野さんは優しい方ですし、香西さんも速川さんも分かりやすく教えてくださるので安心です。ワタシもっと頑張ります。これからもご指導よろしくお願いします」


「はは。なら良かった。こちらこそよろしく」



夏音以外の女子とはあんまり喋らないから緊張して喉がカラカラになりながらも、駅までほぼノンストップで話し続けた。


他大学の学生との交流もバイトの良さなんだと気づいた。


ただお金の為だけに働くなんて虚しいもんな。


サークルにも入ってないんだし、バイト先の人とくらい仲良くやらなきゃだな。


なんて思っているうちに松本さんが改札を抜け、ホームに向かって行った。


さてと、オレも帰らなきゃな。


今日はアネキが夕飯にカレーライスを作るって言ってたから賄いを食べずに来たんだ。


Suica、Suica...。


うわ、マジか...。


ロッカーにパスケースごと忘れたことに気づき、来た道を引き返す羽目になったのだった。


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