ずっと、好きなんだよ。
超重要事項の初解禁の相手が間違っていないかと思いながらも、私は必死に美玲さんの話に耳を傾けた。
婚約者は大学時代美玲さんのサークルの先輩だった人でIT企業の社長の息子、らしい。
大学1年の夏から付き合い始めたよう。
プロポーズは夜景が綺麗なレストランで、周りの人も巻き込んでの大々的なものだったみたい。
美玲さんはまるでその時にタイムスリップしたかのような口振りで話を続けた。
「いやぁ、こんな庶民がさ、御曹司からプロポーズ受けるなんて...ねぇ。自分でもびっくりしちゃって。もしかしたら遊びなのかもしれないとかちょっと疑ったりもしてたんだけど、違った。ド庶民...いや、貧乏人?との結婚なのをご両親も納得してくれてるみたいで、今度一緒に食事することになってるし。あとはあたしが家族に話して了承を得るだけなんだよねぇ」
「良く今まで気づかれなかったですね...。あ、でも、弟さんかなり鈍感だから気づかないか」
「そーだよー。れおは鈍感中の鈍感だからぜんっぜん気づかない。髪の毛の色もさ、若気の至りでさ、結構派手めのピンクにした時も1週間気づかなかったから」
「はは。なんか分かります。そういう人でした...」
言いながら気づいた。
思い出したくもないのに、また自分から引き金を引いてしまっていた。
口の中が一気に苦くなる。
ダメだな、私。
溢れたもの、全部言葉にしちゃう。
...止めらんない。
......どうしよう。
口を噤んだ私を見て美玲さんが気を利かせて話題を変えてくれた。
「で、朽木奈和ちゃんはどうしてここに?」
「あ、えっと、私はその...仕事関連で。宮森町の夏祭りにうちの職場...おひさまーとも出店をやることになって。話題性のある粉ものを提供出来ないかなぁと思ってアイデア探しにここに来たんです」
「へぇ、そうなんだ。ちょっと本見せて。こう見えてもあたし、主婦歴20年くらいあるから」
「じゃあ、遠慮なく、お知恵お借りします」
「よしっ!ど~んとお任せあれ」
婚約者は大学時代美玲さんのサークルの先輩だった人でIT企業の社長の息子、らしい。
大学1年の夏から付き合い始めたよう。
プロポーズは夜景が綺麗なレストランで、周りの人も巻き込んでの大々的なものだったみたい。
美玲さんはまるでその時にタイムスリップしたかのような口振りで話を続けた。
「いやぁ、こんな庶民がさ、御曹司からプロポーズ受けるなんて...ねぇ。自分でもびっくりしちゃって。もしかしたら遊びなのかもしれないとかちょっと疑ったりもしてたんだけど、違った。ド庶民...いや、貧乏人?との結婚なのをご両親も納得してくれてるみたいで、今度一緒に食事することになってるし。あとはあたしが家族に話して了承を得るだけなんだよねぇ」
「良く今まで気づかれなかったですね...。あ、でも、弟さんかなり鈍感だから気づかないか」
「そーだよー。れおは鈍感中の鈍感だからぜんっぜん気づかない。髪の毛の色もさ、若気の至りでさ、結構派手めのピンクにした時も1週間気づかなかったから」
「はは。なんか分かります。そういう人でした...」
言いながら気づいた。
思い出したくもないのに、また自分から引き金を引いてしまっていた。
口の中が一気に苦くなる。
ダメだな、私。
溢れたもの、全部言葉にしちゃう。
...止めらんない。
......どうしよう。
口を噤んだ私を見て美玲さんが気を利かせて話題を変えてくれた。
「で、朽木奈和ちゃんはどうしてここに?」
「あ、えっと、私はその...仕事関連で。宮森町の夏祭りにうちの職場...おひさまーとも出店をやることになって。話題性のある粉ものを提供出来ないかなぁと思ってアイデア探しにここに来たんです」
「へぇ、そうなんだ。ちょっと本見せて。こう見えてもあたし、主婦歴20年くらいあるから」
「じゃあ、遠慮なく、お知恵お借りします」
「よしっ!ど~んとお任せあれ」