ずっと、好きなんだよ。
結局、映画には間に合った。


夏音が行きたがっていたパフェのお店に行って3000円のジャンボパフェを2人でシェアして食べきった。


明るいはずの暗い話をしても夏音は動じなかったんだ。



"大丈夫だよ。美玲さんなら間違えるわけがない。ちゃんと自分で幸せになれる道を選んで歩いてると思うよ"



そう、言った。


いつになく力強く。


夏音はオレより何倍も強い。


そう、分かった。


信じてきたものを信じる。


一点の曇りもなく、晴れやかな表情でそう言った。


その強さにオレは圧倒されてしまい、正直映画やパフェどころではなかった。


それにまた思い出してしまったんだ。


森下の言葉を。



ーー中途半端。



情けない。


不甲斐ない。


女々しい。


どうしてオレはアネキを信じられないんだ?


どうしてオレはこんなにも悲観的に考えてしまうんだ?


どうしてうまく切り替えられないんだ?


どうして夏音の前でも笑っていられないんだ?


どうして...なんだ?


一度沸いた疑問符はなかなか消えず、もやもやも一層増幅した。


一瞬射し込んだ光を遮るように雲が多い、しとしとと弱く長く続く雨を降らせる。


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