ずっと、好きなんだよ。
屋台を解体し、ゴミを分別し終えて公民館に向かう。


おそらく地域住民たちがまだどんちゃん騒ぎを繰り広げているだろうけど、そんなの知ったこっちゃない。


パートさん達も帰ったし、私も店長に挨拶をしたら帰るんだ。



「あと少し...」



ゴミ捨て場まで何度もそう呟いて、ようやくたどり着いた。



「おいしょっと」



ふぅ...終わった...。


疲れた...。


明日からはエナドリ飲まなくてすむのか。


良かった...。


ふと、夜空を見上げる。


田舎だから嫌でも星の輝きを目にする。


眩しすぎて私には毒になるくらいだけど、今夜は空が澄みきってよりはっきり見えるのに、素直に綺麗だって思える。


達成感ってやつ?


それが星の輝きも美しさも増幅させて私の目にも心にも訴えかけて来たのかもしれない。


...あ、そうだ。


それだけじゃ、ない。


忙しくて忘れてたけど、


たった今、思い出したよ。


8月25日。


......誕生日、だ。



「おめでと」



遠くからキミの幸せを祈ってます。


夜風が頬を撫でる。


なんだろう...。


この風にさらわれそうな気がする。


夜空に吸い込まれそうな、そんな気が...。


すーっと全身から力が抜け、視界が真っ暗に......。


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