ずっと、好きなんだよ。
そう言った、直後だった。



「れおくーん!」



あの子の声が聞こえた。


やっぱり一緒だったんだ。


そう。


だって、運命だから。


こういう運命。


私は夏の大三角にもならないくらい、


消えかかって見えない星。


その運命に今さら足掻くつもりもない。


なのに、どうして?


どうして、また、


私の前に現れたの?


もう、いい。


もう、傷付くのは、


いや、なのに。



カランコロンと軽快な音が近づき、私の真横で止まった。



「連絡つかないから直接行って見つけて来た。柏木さんっていう人、店長さんで間違いないよね?」



変わらない。


ぜんっぜん、変わってない。


真ん丸のくりっくりの瞳。


ぷっくりとした唇。


綺麗な卵形の顔。


いつ見たって、可愛いんだ。


凡人の私なんか比較対象にもならないくらい異次元の輝きを放ってる。



「はい、そうです。ありがとうございます、栄木さん」



栄木夏音...。


キミの隣はこの子が似合う。


今改めて見て思った。


私じゃない。


栄木さんだ。


この輝きと共に生きていく。


それがきっと、正しい。

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