ずっと、好きなんだよ。
「奈和ちゃん」


「えっと...ツッコむ気力がないのですが...」



タクシーが出払っているらしく、私は店長直々に送られることになった。


ふらふらしている私の腰あたりをそっと押さえてゆっくり歩いている。


たまにすれ違う人にはカップルに見えるかもしれないのが恐ろしい。


小さい町だから噂になると一気に広まるから。


だからこのシチュエーションは避けたかったのだけど、徒歩15分の道のりだ。


我慢するしかない。



「さっきの人達って奈和ちゃんの友達?」



また奈和ちゃん呼びだが、めんどくさいからそのまま続ける。



「厳密に言うと友達ではないです。ただの高校の同級生です」


「へぇ。んじゃあ、もしかして、三角関係だったとか」



ふふっと私は笑った。


分かるもんなんだな。


きっと、色々滲み出ていたんだと思う。


仕方がない。


認めよう。



「そうです。でも圧倒的に2人の絵面が強すぎて、眩しすぎて...私の入る余地はありませんでした」


「そうかな?俺にはそうは見えなかったけど」


「いや、どこに目ついてるんですか?どう見たって2人は完成形で、私は...」


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