ずっと、好きなんだよ。
「そこのバイトくん」



彼氏の方に呼ばれて振り返り、一歩前に進み出る。



「お客様、この度は私のミスで不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした」


「あのさぁ、君、バイトナメてるでしょ?」


「かっちゃん、もういいじゃない。大丈夫ですので、行って下さい」



彼女さんの温かい言葉がむしろ痛い。


なんとなくでも分かる。


オレはまだここに居なくてはならない。


オレは男性と向き合った。



「謝ればいいって問題じゃないんだよ。ちゃんと気配って動いてればこんなことにはならないの。

どうせ学生バイトかもしれないけどさ、仕事ってのは何があってもね、出勤したら最初から最後まで誠意持ってやり遂げなきゃならないんだよ。

講義なくて暇だし、遊ぶ金稼ごうかぁみたいな軽いノリで中途半端にやってるくらいならさっさと辞めな。君、向いてないよ」


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