ずっと、好きなんだよ。
それからさらに2、3度頭を下げた後、店長が料理を持って現れ、3人で再度謝罪し許してもらえた。


店長からは2度とこういうことが無いようにと言われただけでそれ以上のお咎めはなかった。


オレは先ほど男性から言われた言葉を思い出し、シフトの最後まで働こうとしたのだが、オレの憔悴っぷりを見かねた牧野さんから「今日はもう帰りな」と言われ、オレはおとなしく店を出た。


帰り道、オレは生ぬるい風を鬱陶しく思うよりも別のことを考えていた。


きっと明日、ミーティングでオレのことが話題に上がるだろう。


そしたら明日来るはずの雄馬に知られる。


次の出勤日、会った途端笑われるんだ。


誠意を持って高校時代からバイトを続けている雄馬だったらこんな失敗はしなかっただろう。


オレはやっぱり…中途半端なんだ。


何度も言われる。


もう耳にタコが出来るくらい聞いた。



世界一嫌いで


世界一オレにお似合いの四字熟語...


〝中途半端〟



「はぁ...」



帰りの電車の中でため息をつくと、オレの目の前に乗っていた塾帰りと思われる小学生にキリッと睨まれた。


オレもランドセルを背負ってる頃まではもっとキラキラしてたんだよ。


みんなの真ん中で笑って


弱い者に手を差し伸べて


先生から感謝されるような


リーダー的存在だったんだよ。


それがなぜか今は…


輝きを失った。


潰えたんだ、いつからか。


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