ずっと、好きなんだよ。
最近は本当に起きていられない。


疲労困憊って感じで、オレはまた寝落ちしてしまった。


目が覚めた頃にはカーテンの隙間から夏の朝日が鋭く射し込んでいた。


その強烈な光に目をしばしばさせながらオレはベッドから体を起こし、居間へと移動した。



「5時55分になりました。ここで最新のニュースをお伝えします」



まだ6時前だったのか...。


しかし、アネキはもうキッチンに立って弁当作りをしていた。


昨夜の泥酔はなんのそのという感じで朝から聞いたことのあるウエディングソングを口ずさんでいる。


ご機嫌だなぁ...。


ま、幸せの絶頂なんだから仕方ないけど。



「あ、れお!おっはー!どう?ちゃんと眠れた?」


「まぁ」



アネキがフライパンから皿に卵焼きをスライドさせながら、こっちを見てくる。



「なんかさ、最近元気ないよね?なんかあった?」


「は?何もないけど」



アネキの横を通り過ぎ、冷蔵庫からまた麦茶を取り出すと早朝の一杯を一気に飲み干した。



「ねぇ、れお」


「なんだよ」



弁当箱に切った卵焼きを詰めながらアネキは口を動かし続ける。



「自分ではうまくやってるつもりだろうけど、アンタ、顔に出てるからね」



マジ、か。



「ほら、今も。眉間にシワが寄った。あのねぇ、あたし何年れおのアネキやってると思ってるの?隠したって無駄なんだから!」


「別に隠してるわけじゃ...」


「言いたくなきゃムリして言わなくてもいい。男の子だからプライドってもんもあると思うし、女のあたしには分かんないこともあるだろうしぃ。だけど、そういう顔、夏音ちゃんの前では見せちゃダメだよ。この前夏音ちゃんからメッセージ来たんだから。最近れおくんの様子がおかしいから心配ですって」



そう、だったのか。


確かにずっと上の空だった。


心配かけてたんだな。


謝らなきゃな。


...いや違う。


謝るより、


オレがたくさん笑わせよう。


そうした方が夏音も喜ぶ。


夏音の笑顔がオレに力をくれる。


そう、だから...



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