ずっと、好きなんだよ。
待ち合わせ場所は宮森駅の5倍はありそうな大きな駅のロータリーにある青いベンチの前だった。


約半年ぶりの彼女は、まだ10代だった頃の面影もないくらいに明るい茶髪のボブスタイルになっていた。



「よっ!な~お!お仕事お疲れ様~っ!ってことで一杯飲もうよ」


「由紀ちゃん相変わらずテンション高いね」


「奈和は相変わらずローテンションだねぇ。大丈夫?職場ブラックなの?」


「んなわけないじゃん。あのド庶民向けスーパーだよ。ブラックどころか純白だよ」


「ははっ、そっかぁ。なら良かった」


「こんなところで話してないで早く移動しよ。人多いんだから邪魔になる」


「はいはい。分かりましたよ~。奈和ったらもぉ、ババくさい。あたしの周りはもっと元気だよ。もっとハタチらしくはっちゃけていこーよっ!」



はいはい...と嗜めながら目的の居酒屋へと歩みを進める。


由紀ちゃんは良くも悪くも変わってないな。


学生時代から歯に衣着せぬ物言いで私に数々の名言を浴びせて来た森下由紀ちゃん。


今は臨床検査技師になるべく大学に通っている。


私もエレベーター式の進学校に通ってたわけだから、当然大学生になるはずだったんだけど、


まぁ色々あったからね。


私は...この通り、だ。


高卒社会人になったんだから、多分他の20歳よりババくさい。


...分かってる。


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