ずっと、好きなんだよ。
彼は自分の部屋に戻っていった。


私は買ってきた材料を切ったりお湯を湧かしたり、レンチンしたり、無駄に動作を増やしたりして溜まりつつある行き場のない感情を忘れようとした。


美玲さんから彼の話は詳しく聞いていなかったけど、私が知らない2年間で何があったのだろうか。


それとも、最近?


でも、この前会った時は、変わらずキラキラして見えたような...。


ただ単にカノジョと会えない寂しさから心身共に病んじゃった、とか?


たぶん、それだ。


それしかない。


だとしたら、私には治せる術はないから、やはり代わりが来たらさっさとお暇しよう。


少しでも自分がなんとかしようと思ったのが間違いだ。


彼の"なお"は夏音の方。


私じゃないんだから。



「よし、完成」



渾身の1杯が出来た。


やっぱり彼といったらこれでしょう。


さぁ、どんな顔をしてくれるかな。


ちょっと楽しみにしながら、私は彼の部屋までやってきた。



ーーコンコン。



「夕飯持って来たよ」



ゲホゲホッと咳が聞こえる。


おそらく返事をしようとして咳込んだのだろう。


早く治してもらうためにも、まずは食べてもらわなくては。


私はゆっくりと扉を開け、中に入った。


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