カレカノごっこ。
《新奈side》
渉の言う通りだった。
なにが好きにならなきゃそれでいいだ。
もう好きになりかけてるくせに…。
好きになってからじゃ遅い。
本当にその通りだ。
渉に言われてガツンと頭を殴られたような、そんな衝撃だった。
ちゃんと言いにくいことも言ってくれた渉に感謝しなきゃ。
「ただいま」
家に帰った私は、伊吹くんとお揃いで買ったブレスレットを外して、缶の箱にしまった。
伊吹くんとのデートはどれも楽しかった。
今まで経験したことがないトキメキやドキドキを、たくさんくれた。
伊吹くんも悪気があって、思わせぶりなことしてるわけじゃない。
なんでこんなことをしているのか意図は分からないけど。
伊吹くんがいい人なのは近くで接して分かったから。
だからいい思い出としてしまっておこう。