カレカノごっこ。

今考えれば最初からか。

その気もないのに、その気があるふりして私に近づいてきて。

伊吹くんの目的は何なの?



「そこまで言うなら、一緒にいてあげる」



こんな可愛げない言い方しかできない自分がイヤだ。

伊吹くんは私の言葉に複雑そうな顔で笑った。



放課後。

誰もいない放送室で。

私と伊吹くんはただ手を繋いで一緒にいた。

伊吹くんは何も喋らない。

私も何も喋らない。

喋れない。

私の心臓の音が聞こえてしまわないか不安になるくらい、静かだった。

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