カレカノごっこ。
さっきの高テンションの皆藤くんとは、うってかわって低めのトーン。
「な!ならないよ!」
笑顔とのギャップがすごくて、ゴクリと生唾を飲む。
「約束ね」
皆藤くんは冷静にそう言って、さっきからずっと握っていた私の手を離した。
私の頭は”はてな”でいっぱいだ。
好きになったらダメなのにデートするの?
あ、そっか。
さっき面倒くさいの嫌いって言ってたっけ。
好きになられると面倒なのか?
じゃあ、なんでデートするの?
困ったな。
モテる人の考えていることが全然理解できない。
「実は行ってみたいカフェがあって」
皆藤くんはそう言いながらスマホ画面を私に見せてくる。
このカフェは私も見覚えがあった。
「ここって駅前の新しくできたとこ?」
「そう!ずっと行きたかったんだけど、男子だけじゃ入りずらいじゃん?」