カレカノごっこ。

しばらく経って、沈黙に耐えられなくなった私は口を開いた。



「伊吹くんって手繋ぐの、好きだよね」

「あー、そうなのかもしれない」



シーンとした放送室の中で、自分達の声だけが聞こえる。



「なんか繋がってる感じがしていいじゃん」

「確かに」



私も映画館で伊吹くんと初めて手を繋いで。

すごく心地が良くて。

手を繋ぐって悪くないなって思ったよ。



「映画の時、本当は起きてたんでしょ?」

「なんのこと?」

「とぼけちゃって」



今みたいにギュッと優しく手を握ってきたじゃん。

そのせいで私は映画に集中できなかったんだよ。

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