カレカノごっこ。

私と渉は、靴を履き替えて学校を出た。

渉は一言もしゃべらないまま黙々と駅に向かって歩く。



「ごめんね、だいぶ待ったよね…」

「うんん。別に待つのは苦じゃない」

「やっぱり待ったんだ」

「いや、それはどうでもよくて」



え?



「またあいつと一緒だったんだって思って」



伊吹くんのこと?

あー、そうか。

渉は、私が伊吹くんと付き合ってもないのにデートしてるって聞いて、心配してくれてるんだ。



「言ったよ。デートはもうしないって」

「そうなの?」

「うん。これからはちゃんとした恋愛する。だから心配しないで」

「うん…」



そう。

本当にこれでおしまい。

もう何を言われたって、どんなに強引にされたって、伊吹くんとはこれでおしまい。

今度からちゃんと普通に恋愛できる人を探さなきゃ。

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