カレカノごっこ。

駅のホームに着いて、電車が来るのを渉と2人で待つ。

そして私は見つけてしまう。

駅の向い側にいる伊吹くんを。



伊吹くんの姿を確認した時、また自分の心臓が大きく波をうった。

そういえば同じ駅だったんだ。



伊吹くんと目が合って。

さっきバイバイしたはずなのに、また名残惜しさが蘇ってくる。



私は伊吹くんを捉えることに夢中で。

渉が私たちのことを見ていたなんて全然気が付かなかった。



「新奈、目の下に何かついてるよ?」



渉はそう言って私の視界に飛び込んできた。



「え、うそ?」

「ちょっとじっとしてて」



まつ毛でもついているのかなーなんて。

のんきに目をつぶって構えていた。



渉の左手が私の首筋をなぞって、ちょっとびっくりして。

渉と目が合った瞬間、唇に何かが触れた。





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