カレカノごっこ。

私は家に着くまでの間、どうでもいい話をした。

天気の話とか、昨日見た動画の話とか。

本当に内容のないどうでもいい話。

なんか話してないと、どうしていいか分からなかった。

渉もずっと普通に相槌をうってくれていた。



「じゃ、またね」

「うん」



私の家の前で、私は渉に手をふる。

でも渉はそこで足を止めたまま動こうとしなかった。



「…帰んないの?」



私の問いに、俯いたまま何も答えない渉。

気まずい沈黙が私たちをのみ込む。

そっか、私が家に入らないから帰らないのかな…?

家に入るまで見届けてくれるパターン…?



「じゃあね」



私はそう言って、渉に背を向けた。

その瞬間。



「新奈はあいつのことが好きなの?」

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